さてカレーが好きで、何度も通っているうちにその店で働くことになったというのが俺のカレー屋生活の始まりだったが、小学校に入るか入らないかのガキの頃から俺の大好物といえば蕎麦だった。
まだ日本が貧乏だった時代、外食は滅多になかったが、機会があると蕎麦をリクエストしていた。
温かい蕎麦もいいが、なんたって大好きなのはシャキンと冷えた盛り蕎麦だ。一通り食い終わるとシメの蕎麦湯がまた旨い。ガキのクセに眉間にシワを寄せて堪能する。
そんなガキも年を取ってカレー屋となり、自分の店を開けてしばらくした頃、「そういえば俺はお子様ランチというものを一度も食ったことが無いな」と気付いた。しかし、さすがの俺もこのトシでお子様ランチを頼む度胸は無い。
そんな時に常連の女性客がファミレスに勤めているという事を知り、俺のようなジジイでもお子様ランチは注文できるのかと聞くと「うん、大丈夫だよ」と言う。生涯お子様ランチを食うことも無く一生を終え、土に還っていくという心配はこれで無くなった。
早速、俺は大喜びで彼女の店に行き「お子様ランチとビール！」と注文した。
出てきたものは想像通りのものだった。ハンバーグをメインとしたいろんな料理が盛り付けられた上に日の丸の旗が立てられ、男の子向けの車のおもちゃまで付いていた。
これがお子さまランチかぁ、と感動し、早速ビールで喉を潤して食い始めたが途中で何か視線を感じて横を見ると、お母さんと一緒に来ていた5，6才の少年が、ひげ面のジジイが喜んでお子様ランチをパクついてているのを目を丸くして見ていた。
俺は途端に恥ずかしくなり、凶悪な目力光線を発すると彼は怯えたように目をそらしたので逃げるように食い終え、それが俺の唯一のお子様ランチ体験となっている。
ちなみに俺は、うまい棒も一度も食ったことが無い。それは珍しいと言われたが、珍しいんだろうか。
という事で、今週のザ・限定はトムカープラー！
うまい棒を食ったことがあっても、ウチの店やタイ料理屋に行ったことのある人以外は口にしたことが無いだろう、タイの魚のスープ。ベイビー美味いぜ！合わせる裏スープはSSS9！写真はクロントゥーイ市場で売ってたカー。
①トム・カー・プラー
さて、タイのココナツフィッシュスープの登場だぜ！トム（煮る）・カー（ナンキョウ）・プラー（魚）の意。ショウガ科のカーは、ショウガよりもっと強くドライな香りのハーブ。
スパイスを中心に使う南アジアの料理に比べ、東南アジアはハーブを中心に使う傾向があります。
レモングラス、カー、青唐辛子、コブミカンの葉などを煮出し、ココナツミルクで魚を煮込んであります。ココナツは少な目で、魚とナムプラー、少量の砂糖を使ってうま味と厚みを出し、レモンの酸味で味を引き締め、すっきりした味わいの中から各種ハーブの香りが立ち上ります。
今回は小ネギバージョン。その他、きのこや紫タマネギ、パプリカ等を使用してるぜ！単品でも美味いですが、スープカレーその他副菜と合わせると味が複雑化して楽しめます。ライスはつきません420円ナリ
②ヒヨコマメの中東風ディップ
中東ではペースト料理が広く食べられていますが、コイツはgop風のディップ！！
時折ライスに合わせ、味変しながら食べるとクリーミーな風味が広がり、ベイビー美味いぜ！オタメシアレ！120円
③スーパースパイシースープ9
裏メニュー。シンプルな構成のSSS9は、音で言うとSSS7が主に高音域をブーストさせるのに対し、低音から高音までバランス良くオーバードライブさせ、強く深い味わいになります。そして長く残るスパイスの余韻！オタメシアレ！100円。
①～③の全部盛りは、いつも通り「オール」とスタッフまで！
④大根のピックル
インド式の油とスパイスで漬けたピクルス！クセになる味わい。一口ごとにスープカレーや他の副菜と合わせると、味が強くなり、スパイシーさが増します！120円
⑤パクタレ
人気のパクチーのタレ。ほんの少しの量をライスに付け、スープカレーと共に口にいれると、広がる旨みと香り！60円ナリ！
⑥ナスと鰹節のピックル
スパイスの香りをつけた油でにんにくと生姜、ナスを炒め、パウダーにしたスパイスを加えて弱火で煮込み、鰹節、塩、レモンで味を調えてあります。ナスと鰹節のうま味が一体となり、カレーに優しく華を添えます。120円ナリ。
⑦ビーツディップ
茹でたビーツに炒め野菜や炒ったココナツ、乳製品などを加えて鮮やかな色合いのディップにしてあります。他のディップとは別のベクトルの、クリーミーさと味の深さが加わるぜ！120円
という事で朝から店に仕込みに行ってたが、さっき使ったカーの残りが、探しても探してもどこにもない。
いつの間に俺はこんな高度な魔術を使えるようになったのかと感心したが、無いのでベトナム食材店まで買いに行くハメとなる。まぁいいや。
ではでは皆さま、今週も良い週末を！(^。^)